連分数

連分数の話を書きます。連分数とは分母に更に分母が含まれている分数のことです。

たとえばこんなのです。

 {\displaystyle a_0+\frac{1}{a_1+\frac{1}{a_2}}}

この例のように、分子がすべて1であるような連分数を正則連分数といいます。

上のように馬鹿正直に分数として書いてしまうと非常にめんどくさいので、正則連分数は {[a_0,a_1,a_2]}と表記されることが多いようです。

本記事では正則連分数以外を扱いません。そこで正則連分数のことを単に連分数と呼ぶことにします。

参考:連分数 - Wikipedia

※正則連分数を単純連分数と表記するものもありましたが、ここではwikiに従います。

 

連分数1_連分数イントロ
無理数というのがあります。これは小数点以下が不規則(循環せず)に、無限に続く数です。また、分数で表現できないという特徴があります。
代表的な無理数\pi、\sqrt{2}、\sqrt{3}などです。中学、高校くらいで習ったと思います。

コンピュータは有限桁の数しか扱えないので、これらの数をコンピュータ上で使おうとすると近似値を扱うしかありません。

ここで連分数が登場します(※1)。連分数は無理数を分数へ近似します。そして、この分数は無理数の良い近似となります。
※1. 説明上こんな風に書きましたが、実際にコンピュータ上で無理数を扱うのに連分数が使われているかは知りません。

 \sqrt{2}を例に説明します。
 \sqrt{2}は1.41421...と続く無理数です。 \sqrt{2}の近似例として、
141/100=1.41(誤差:約0.004)
というのを見てみましょう。分母分子共に3桁の数で、誤差は約0.004です。

さて、ここで「もっと良い \sqrt{2}の近似分数はないのか?」という疑問が出ます。
さきほどの例では分母が100で分子は141ですね。これは共に三桁の数です。
これよりも分母分子がより小さく、誤差もより小さければ嬉しいですよね。
なんというか「完全勝利!」という気分になれます。

実は、連分数を使えばこの嬉しい近似分数を得ることができます。
実際に連分数を使うと(例えば)次のような分数が得られます。
41/29=1.4137...(誤差:約0.0004)
前の単純な近似分数よりも小さい分母分子(どちらも2桁!)で、より良い近似が得られていることが分かります。さらに驚くことに、これよりも良い近似分数(分母分子が41,29より小さく、誤差も0.0004より小さい分数)はないことが証明されています。
つまり連分数から得られた近似分数が最良の近似分数となります。連分数に勝てる近似分数はないわけです。
「最良の」と言えてしまうことがすごいですよね。近似分数界の羽生善治です。湘北に負ける前の山王工業です。
数学はこういう風に「オラッ!俺が最優秀者様じゃ!ひざまづけ!」って言えるところが本当に面白いと思います。

連分数2_連分数の計算方法
有理数の連分数展開はこちらを参照するのがよいかと思います。
ということで無理数の連分数展開の説明をします。

 \sqrt{2}で考えてみましょう。(参考)
便宜のため、 x = \sqrt{2}とします。

 x^2 = 2

より

 x^2 - 1 = 1
(x-1)(x+1)=1
 x-1 = \frac{1}{x+1}
 x = 1 + \frac{1}{x+1}       (①)

さて、ここで右辺のxに①を代入します。

x = 1 + \frac{1}{1 + (1+\frac{1}{x+1})}

x = 1 + \frac{1}{2+\frac{1}{x+1}}

またまた右辺のxに①を代入します。同様の操作を繰り返すことで、\sqrt{2}の連分数展開

 [1,2,2,2,...]

を得ます。今回は\sqrt{2}を例に説明をしました。これに対して\pi、eなどは超越数と呼ばれ、展開の仕方が異なるみたいです。本記事では扱いません。

 

本当はここから分数を求める話をしたかったのですが、疲れたので終わりにします。

また気力があるときに書こうと思います。